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新聞:朝日新聞、ジャパンタイムス、琉球新報、沖縄タイムス、他

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大弦小弦
2003年3月17日
沖縄タイムス社 朝刊 1面

クラシックを聴いても、だれの曲なのか教えてもらわないとわからない。でも、この人は知っている。
新垣勉さん。混血、全盲、家族との離別など、厳し過ぎる運命を歌で切り開いた県出身のテノール歌手。 

CD『さとうきび畑』はじわり売れ、クラシック音楽の"ミリオンセラー"といわれる十万枚を突破した。
十五日夜、その素晴らしい歌声を聴いた。歌の合間に軽い冗談。二時間があっという間だった。

コンサートを企画したインテリジェンス・アンリミテッドの藤本ゆかりさんは「人の何倍も努力して歌いたいという思いを見失わなかった。だから今日がある」と新垣さんを評する。
人と対比したナンバーワンではなく、その人にしかない魅力を発揮する「オンリーワン」を生きる。

新垣さんはそんな思いを歌に込めるという。今回のコンサートでは、最後に、もう一つのメッセージを添えた。
「戦争の好きな人、平和の嫌いな人はいないと思う。平和は遠くにあるものではない。互いが互いを大切にすれば平和はつくり出せる」。ほぼ同時刻、全国各地でイラク攻撃反対集会があった。

県内でも数千人が戦争反対の声を上げた。
沖縄は世界情勢の鏡。きな臭さを映して、空を切り裂く爆音も激しさを増す。昔、戦があった地で新垣さんの『さとうきび畑』を聴きながら祈る。子どもらに鉄の雨が降ることのないように、と。(武富和彦)