
久高将克さん(60)
(株)琉信ハウジング
専務取締役 |
「組織の活性化に役立つコーチング」
私がコーチングを学びはじめたのは、友人に「君、鬼みたいになっているよ」と言われたことがきっかけでした。
長い間銀行に勤め、自分がつぶしたと思う人間も何人かいました。この年になってから、畑違いの職につき、不安でいっぱいでしたが転職を機に、これまでの失敗を改めることができれば、次に出会う人たちにはもっといい形で接することができれば、という反省と検証の気持ちがありました。
部下から見れば、うっとうしいと思われるでしょうが、私たちの世代は、いつも命令型、押し付け型、脅迫型でした。こういうことじゃいかんとわかっていても、それを解決する術がわかりません。コーチングがその手法を教えてくれるんじゃないかと思ったのです。
銀行時代のエピソードを紹介します。その子が手をつけた仕事は必ずミスがでるし、何度も同じ失敗を繰り返す行員がいました。あまりにひどいので、私は最後には「もう何もしないでいいから」と、彼女の存在を無視しました。
ところが、行員の慰労会でディスコに行ったとき、彼女がディスコの女王としてパーティーの盛り上げ役になりました。次の日には、「君がいると楽しいから、また行こう」と他の行員に彼女の存在が認められるようになり、何度かそれを繰り返すうちに彼女が変わってきたのです。仕事上でどんどんミスが減り、今では後輩に指導するベテランの行員になっています。
そのことから「一つの現象で全てを批判してはいけない」ということを学びました。人間は生かすも殺すも、無視するか、認めるかで変わってきます。
コーチングを学んで、実践してみましたが、すぐにはうまくいきません。ガンコで短気な性格は、簡単には変わりません。でもこれ以上、人との関わりあいで悲劇を与えたくないという思いでやっています。
まず、朝は心の準備をして、気持ちを少しハイにして出勤します。そして、自分から声かけのゲームをしてみようと考え、こちらからあいさつをしてみることにしました。すると、低いトーンであいさつすれば、そのトーンで返ってくる。大きな声ですれば、相手からも大きな声で返ってくる。なんのことはない。「人を変えるには、自分が変わればいいんです」。そんな理屈は、昔から知って いたことでした。ただできなかった。
今は、相手のいいところ探しをやっていこうと考えています。そうするうちに会話のキャッチボールが成り立つようになって、今では、若い女子社員が私の着ている洋服のことにまで口を出してくれるようになりました。私を見てくれている、という小さな出来事に感動するのです。私を無視していないのですね。
お互いのいいところを探して接近し、同じ土俵に乗ったところで相撲も取れるようになります。コーチングの勉強は、人を変えるためにやったのに、自分が変わってしまいました。おかげさまで、厳しい実務の連続ですが、気分さわやか、ストレスゼロの毎日です。 |