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道標(3)コーチングの導入事例 〜社長の強い思いが社員を動かす〜
2003年8月
 

掲載記事  最近、会社ぐるみのグループコーチングのニーズが高まってきた。それは、全社的に企業のモチヴェーション(ヤル気)の高い組織を作り上げたいという経営者の強い思いがあるからである。しかし、社内だけではどう対応すべきか混迷しているのが現実のようだ。
社長と社員が同時にコーチングを受けて、共通の価値観を持ち、それを基本に「自分で考え、自分で行動する」社員を育成したいというのが本音のようである。
  ここで一つの導入事例を紹介しよう。
  業種は健康食事の宅配、従業員四十三名、社長四十代の男性、コーチング月一回二時間通計十回(20時間)。導入の動機は、去る一月から三月まで行われた、ある公共団体主催のコーチングを社長と社員二名が一緒に受講したことによる。受講した社員はともに三十代の現場で働く男性。従来実施した研修では期待した効果が得られないと悩んでいた時期であった。現代の若者に共通の「指示待ち人間から、自分で考え行動する積極人間」に変えられないかというのが社長の意図するところだったようである。月を追うごとに期待以上に変わっていく二人の社員を目の当たりにして、社長は全社的に導入することを決断したとのことである。
  当社には、明確な会社の理念があり、経営トップの意思が盛られている。そのほか退職時に、「この会社で働いてよかった。人間的に大きく成長した」と言って去っていくような会社にしたい、というのが社長の目指す会社である。目の前の業績を上げることに躍起になっている昨今、なかなか言えることではない。その思いは随所に感じられる。例えば第一回のコーチングでは、障害のある社員に対し、二人のボランティアの手話通訳をつけていたのが印象的で、いかに社員一人一人を大事にしているかが分かった。
  健康食事の調理配達を業としているため、全社員が協働で目標達成に向かうことが必要だが、一方、厳格な衛生管理面が要求される業種だけに、作業スペースが明確に分離されていて、ややもすると通常のコミュニケーションに問題があるように思われる。そこで、コーチングの初日にペアーを組ませてコーチングの基本である単純なコミュニケーションゲームの中からお互いの共通点探しをさせたところ、「改めて相手のことが分かった」、「相手に対して新しい発見があった」などで盛り上がった。さらに、ペアー同士で自分が感じた相手の魅力を言わせたところ、「自分にそんな魅力があったのか」など、ここでも相手を理解するのに大いなる助けとなった。
  業種が人間の命に直接かかわる仕事だけに、社員同士の信頼関係は不可欠のものである。今後仕事を遂行していく中で、これまで以上に相手の立場を理解して協働の意識が持てるものだと思う。
  社内コーチングとしては緒に就いたばかりであるが、「社内が明るくなった」というのが社長の評価なので、今後コーチングのスキル(技術)を駆使していく中で、一年後社内でどれだけの変化が出るかを期待している。