沖縄本島では、毎月プロのコーチによるコーチング講座が開かれている。この講座に参加する機会の少ない宮古の方々にせめてコーチングのさわりの部分だけでもと思ってコーチングの話を続けることにしている。
事例1 食料品を地域に配達する全国規模の企業
経営幹部の要望は、経営に対する参画意識を持つ社員を育成したい、ということである。
管理者グループとのセッションでは、指摘されているように 1.競争激化の現状でも危機意識が薄い 2.業況の悪化を他人事のように思っているなど、幾つかの問題点が出てきた。
この会社には明確な企業理念はあるが、全社員に浸透していないことが原因である。それで当社では、ミッションの明確化を第一の課題とした。すなわち、1.企業の存在意義、2.あなた自身の使命、3.あなたは何のために今の仕事をしているか、などをテーマにグループ・ディスカッションに導いた。その中で、従来、目の前の数字を追うことだけに終始し、自分たちが会社の一員として重要な立場にあり、そのうえ、人々の暮らしになくてはならない存在の大きさに改めて気づいた。そして、自分の仕事に大きな自信を感ずるようになり、時間を忘れるほどの熱気を帯びた議論と発表が行われた。管理者たちの表情が一気に輝いてきた。
ミッションが社内にきちんと浸透しておれば、数年前に起きた食品への偽装表示事件は起こらなかったのではないか。そして倒産も・・・などと、彼らはミッションの重要性を知った。ミッションを理解することによって、リーダーは自社の存在意義を知り、経営への参画意識が高まることも再確認した。
事例2。県知事賞を受賞した女性管理者
去る9月22日に"婦人の主張中央大会"が開かれた。県知事賞を受賞した彼女は数少ない銀行の女性管理者である。自分を大きく表に出すタイプではないが、常に向上意欲に燃え、心に秘めたものを持っている。現在1年かけてのグループコーチングに参加している。その中でミッションについての話に入った時、感極まって言葉がつまった。それは部下やお客様のためにまだまだやるべきことをやっていないのではないか、との思いからいろいろ複雑な思いが頭をよぎったからである。
セッションが行われた後に一人一人がミッションステートメントを発表した。彼女は「私はすべての人がこの世に存在する価値を認め、"あなたの道は必ず開ける"というメッセージを伝えるために全力を注ぎます」と発表した。この発表をした彼女の表情は生き生きと輝いていた。
自分のミッションを確認した彼女は強くなった。「何もしなければ何も変わらない。そして、自分の発表が、部下たちに変化を起こすきっかけになれば」との思いに彼女はじっとしておれなくなった。そして、この大会に出場する決心をしたのである。発表は並み居る人々に大きな感動を与え、栄えある県知事賞に輝いた。そして、働く女性に勇気と自信を与えたということで支店長会議の席で頭取賞も受賞した。
コーチングの中で必ず出てくるミッション、これは個人の場合は「使命」として、企業の場合は「企業理念」として、人生の方位磁石の役割を果たしている。このミッションを理解し、自分や企業の存在理由を認識したとき人は強くなることを随所に見てきた。 |