本稿で4回にわたりコーチングについての説明をしてきたが、今回で最後のまとめとしたい。
なぜ今、全国版の経営・経済専門誌が競ってコーチングの特集記事を掲載するのだろうか。また今、東京と沖縄で活躍している藤本ゆかりコーチが毎月のように新聞、テレビ、ラジオなどに登場しているのは何故だろうか。それは激変する時代へ対応するためにコーチングが必要とされているからだと思われる。従来の経験則だけでは予測できないくらい市場の変化は激しいということでもある。上意下達の指揮命令型組織から、"自分で考え自分で答えを見つけ出して自分で行動する人間"が要求される時代になったとも言える。加えて、経営危機に瀕していた日産自動車をV字型経営に導いたカルロス・ゴーン社長が経営にコーチングを導入したこともコーチングの普及を早めている一因だと思われる。
ここでもう一度コーチングについて整理してみよう。コーチングはスポーツのコーチからきているが、コーチの語源は、「馬車」を意味しているそうである。馬車は乗客を目的地まで運ぶ乗り物である。それが選手を「成果」という目的まで導いて行くスポーツのコーチに転化していったと言う訳である。従来のスポーツ・コーチは大体が、自分の思い通りに選手を指導し、自分の行きたいところに選手を連れて行く。また、選手もコーチに依存していて、コーチが主役だったのである。しかし、「馬車」という語源を考えると、ここではお客さんが主役でなければいけないはずである。コーチングではクライアント(相手)が主役である。答えは外から与えられるものではなく、自分で見つけ出さなければその人の身には付かないということから、「その人が必要としている答えはすべてその人の中にある」というのがコーチングの考え方である。従ってコーチの役割は相手に答えを与えるのではなく、相手が答えを見つけられるようにサポートすることである。具体的なサポートの方法としては質問形式で行われる。例えば営業マンがお客様のクレームを持ち帰ったとする。そのとき上司(コーチ)はその対応についてすべての「答え」を教えるのではなく、「あなたならどう対応する?」と問いかけることによって相手に考えさせるのがコーチングの手法である。それが「答えは相手の中にある」ということを意味している。
沖縄本島では今、将来プロのコーチを目指すもの、あるいは職場内コーチ、家庭内コーチを目指すもの」など、年令も職種も異なる17名が1年かけて我が社のグループ・コーチングに参加している。
企業は今社内の活性化を目指して、今の時代に即応できるような、「自分で考え自分で行動できる人材」を求めている。また、個人では自己変革を模索して行動している人々が多いことに驚く。まさに「進歩なきものは後退する」という諺がひしひしと身にしみる時代である
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