以前、宮古の人のことを「サイガ族」と呼ぶ人の記事を目にしたことがある。なんて愛らしいネーミングだろうと一発で気に入った。私の両親も正真正銘のサイガ族である。私と私の経営する会社は、このサイガ族から大きな影響を受けている。
4月1日の仕事始めには、スタッフ全員で“オトーリ”を行い、新年度の誓いを立てる。年末の仕事納めの日には“ホラ吹き大会”を実施し、新しい年への希望を叫ぶ。今や弊社の二大公式行事となったこの儀式は、弊社で会長を務める父からの贈り物だ。サイガ族の文化の一つで余りにも有名な“オトーリ”は、一部では危険な酒の飲み方と言われているが、正式なものは神へ誓いを立てる神聖なる儀式だそうだ。
「オトーリ賛成強制反対派」を自称する父は、スタッフ全員を集め、まるで結婚式の三々九度のごとく、厳かな雰囲気でそれを進行する。もう一つの公式行事である“ホラ吹き大会”もまた、サイガ族の素晴らしい文化である。ほとんど娯楽がなかった時代、ホラ吹き大会を発案し不可能に近い夢を語ることで貧しかった時代を潤していたという。
その昔、水不足で苦しんでいた時代に、ある人がこんなホラを吹いたらしい。「必要なときにはいつでも雨を降らせるよう、天に大きなタンクを作る!」と。あれから約60年、天ではなく地下に姿は変えたものの、宮古島には巨大なタンクが存在する。ホラとは究極の「志を語る会」だと私は思う。経営計画だけを語っていたときよりもホラ吹き大会を行うようになってからの方がはるかに業績が良い。何よりスタッフが生き生きとしている。これは私のコーチングにも正式な項目として組み込まれ、コーチングを受ける東京の経営者たちの間ではやり始めている。
