世界王者を決定するK?1の試合を見た。見事王者の座に着いた魔娑斗選手の戦いぶりには圧倒された。以前この南風で「頂点に立つ人はダウンしたところから立ち上がるイメージングをしている」と書いたが、魔娑斗選手がまさにそれを体現していた。彼は決勝でも準決勝でもダウンをしている。もうだめかとヒヤヒヤしたが、ダウンした後の方が強かった。芸術的とも思えるほどの多くの技を連発していたが、それよりもダウンから立ち上がったときの印象の方がよっぽど強く残っている。
今から8年前、いよいよ起業をすることが決まったとき、3人の大先輩が祝いの場を作ってくださった。3人とも百戦錬磨と呼ばれる経営のベテランだ。この機会にビジネスの成功話をたくさん聞くつもりでいた。しかしお三方が私に贈ったことはただひとつ。「あきらめずに生き続けろ」ということだった。「藤本、成功する方法は数限りなくある。しかし失敗の要因は数えるほどしかない。不正を働くこと、目標・管理を怠っていること、あきらめること。これだけだ」。
魔娑斗選手には数限りない鮮やかな技があるが、王者の座を手にした決め手は、失敗の原因を管理し守り通したことだったのではないだろうか。世の中には成功論が溢(あふ)れている。本屋に行けば、そのほとんどが手に入ると言っても過言ではない。しかし、どんなに成功論を追い求めても、足元がぐらついていてはその素晴らしい成功論も、あっという間に崩壊してしまう。ここ数年、企業の不正が紙面をにぎわしている。特に食に関する不正が目立ち国民の生活を脅かしている。もはや自分の成功の範囲を超えて国民の生死にかかわるほどの影響を出していることに憤りを隠せない。今こそ、失敗の原因に目をむけ、反省し、我が身を見つめ直すときだ。
