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新聞:琉球新報〜南風連載〜

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左手と人材育成

2008年11月15日

右手と左手を同じように使うと、右脳と左脳の働きをはじめ、身体全体のバランスが整い健康促進に役立つという話を聞いたことがある。日ごろ右手ばかりを使っている私は、文字を書くことや食事をする時も左手を使ってみようと考えた。やってみて感じた。左手で書く文字は汚すぎて人に見せられない。箸(はし)使いも下手すぎて食事がおいしく食べられない。左手の仕事は遅すぎてイライラしてくる。そして思った。「右手でやった方が早い」 

結局、右手は左手に仕事を任せることができず、もとの生活に戻った。右手ばかりを使っていると、肩も腰も身体の右側だけが痛くなってきた。改めて身体の一部だけを使うことは健康に良くないことを痛感する。

会社の中にも同じことが起きていた。一つの仕事に時間がかかるうえにうまくできない部下にイライラしていたことがある。任せることを何度も試みたが結局「私がやった方が早い」と思い、一度指示した仕事を取り上げてしまうのだ。部下たちは会社の中で左手の存在だった。それに気づいたときに多くが見えてきた。左手の役割しか担当したことのない部下に、いきなり右手の仕事を任せても、うまくできないのは当然だ。

同時に右手がペンや箸を快適に使えるように用紙を押さえたりお茶わんをもったりと、けなげに補助をしてくれていた事に気づいた。反省と感謝といとおしさでいっぱいになった。そして思った。左手にいつまでも左手の仕事だけをさせていてはバランスを崩し不健康な会社になる。「私がやった方が早い」から卒業しよう。

あれから数カ月たった今、私の会社には右手の役割を果たす部下たちが何人もいる。バランスが整い、血流の滞りがなくなって、爽快(そうかい)感溢(あふ)れる毎日を送っている。 


(藤本ゆかり、(株)インテリジェンス・アンリミテッド代表取締役)